再生医療について

regenerative medicine

再生医療とは、ケガや病気、あるいは加齢に伴い失ってしまった機能を、薬で治療するのではなく、人のからだの「再生する力」を利用して、修復を目指す医療のことです。幹細胞等を用いて、臓器や組織の欠損や機能障害・不全に対し、それらの臓器や組織を再生し、失われた人体機能の回復を目指します。既存の医薬品では治療が難しいものや、治療法が確立されていない疾患に対して新たな治療法となる可能性があります。
特にiPS細胞は、さまざまな器官・細胞へと分化できる多能性と、ほぼ無限に増殖する能力(増殖能)を持ち、再生医療の可能性を飛躍的に拡大させることが期待されています。
近年、大きく平均寿命は延びましたが、細胞の老化が原因となって引き起こされる慢性疾患も増えてきており、残念なことに根治できる治療法が存在しないことがあるのも事実です。再生医薬品の開発・製造が進めば、人体の臓器や組織における細胞の老化が原因の疾患について、将来的に、より根本的な原因に直接作用できる治療や、高齢社会においてQOLの向上に貢献できることが期待されています。

靭帯・腱疾患

PRP療法(多血小板血漿)

prp therapy

スポーツ障害の痛みを軽減

スポーツ障害の痛みを軽減

慢性的な筋・腱付着部の炎症に対する新しい治療選択肢です。
スポーツなど繰り返しの負荷により、からだのあちこちを痛めることがあります。プレーの継続により、損傷した組織の自己修復が追いつかない場合、ダメージが回復せず蓄積し、痛みが発生し、機能不全に陥ります。
このような慢性的な痛みの部位に、自身の血液より作成したPRPを注入し組織修復を促します。身体への負担が少なく、早期復帰が可能であり、ドーピングの対象外(WADA=国際アンチドーピング機構)として扱われていますので、アスリートも安心して治療を受けることができます。ニューヨークヤンキースの田中将大投手や、エンジェルスの大谷翔平投野手が投与されて手術を回避したと報道され一躍脚光を浴びたのも、このPRP療法になります。腱や靭帯の慢性化した痛みの治療や、ケガなどの外傷の治療期間短縮が可能です。

  • ※なお、当院では変形性膝関節症に対する、PRPの関節注射は行っておりません。
regenerative
medicine

変形性膝関節症

APS療法(自己タンパク質溶液)

aps therapy

ひざ関節に特化した、次世代のPRP治療

ひざ関節に特化した、次世代のPRP治療

APSは、患者様自身の血液から作成したPRP(多血小板血漿)から、抗炎症性サイトカインとよばれる炎症を抑える良いタンパク質と関節の健康に関わる成分(成長因子)を高濃度に取り出したものです。
APSはPRPから精製されるため、次世代のPRPとも呼ばれています。
現状、対象疾患は変形性ひざ関節症であるため、膝関節内に注入することにより、関節内に炎症を引き起こすタンパク質の活動を阻害することで、炎症を抑え、痛みを軽減するというメカニズムが注目されています。
従来の治療法は、軽度であれば痛み止めやヒアルロン酸注射など保存療法を行い、症状が進行して骨の変形が起こってしまった場合は、人工関節の手術を中心に手術療法をおこなってきました。
保存治療などで痛みが改善しない方、様々な事情で手術療法は避けたいと考える方、保存療法と手術療法の間を取り持つ、中間的位置づけとして患者様に有効な治療法となります。

APS療法を検討されている方へ、ご理解いただきたいポイント

APS療法は疼痛改善のための新たな治療法です。すり減った軟骨が再生したり、変形した骨が元に戻ったりするわけではありません。APS療法が適している患者様の中でも、治療による効果が現れるのは7~8割です。また、この療法を受けることによって、必要な手術を必ず避けられるわけではありません。以上のことをご理解いただいたうえで、お受けください。

治療の流れ

flow

  1. 01初回診療

    まずは、整形外科の外来受診をしていただき、診察以外に必要に応じてレントゲン・MRI検査などを行います。
    この治療が患者様に適したものであるかを判断しお伝えします。そしてこの治療を行うに当たっての考え方や治療後の生活の進め方、治療のメリット、デメリットをご納得いただくまで説明させていただきます。効果、安全性など疑問をお持ちの方は、ご遠慮なくお聞きください。ご納得いただけたうえで、治療日を決定します。

      • ※治療24時間前から水分を多めに摂取しておいてください。
      • ※非ステロイド性抗炎症性薬は1週間前、ステロイドは治療2~3週間前から中止が推奨されています。
  2. 02治療当日

    まずは処置室で、看護師が血液を採血します。
    その後検査室において、採取した血液からキットを用いて、遠心分離機にかけAPS/PRPを抽出します。およそ30分程度で加工が終了します。APS療法の場合は、更にひざ関節に特化した成分を抽出するため、抽出に必要な溶液の注入と遠心分離の工程があります。そして主治医が治療部位に、抽出したPRP/APSを注射します。
    以上で治療は終了です。所要時間は、おおよそ1時間程度です。入院の必要はなく、日帰りで帰宅することができます。個人差はありますが、採血部位・治療部位に皮下出血が起こる場合があります。注射による腫れ・痛み・熱感・内出血など生じる恐れもありますが、一時的なものです。症状が強く出た場合は当院へご相談ください。腫れや熱感を早く改善するためには、クーリング(冷やすこと)をお勧めいたします。

  3. 03治療後

    治療後の経過観察のため、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後に整形外科担当医師の外来診察を受けて頂きます。投与後は14日間ほどは、活動レベルを最小限にしていただき、治療前より活発にしないことが奨められています。

ASC療法(脂肪由来幹細胞療法)

asc therapy

軟骨の修復・再生の促進に期待。
ひざ関節の新たな治療。

軟骨の修復・再生の促進に期待。
ひざ関節の新たな治療。

患者様ご自身の脂肪組織から、幹細胞のみを取り出し、必要数まで培養増殖させ膝関節腔内へ投与する治療法です。
幹細胞は臓器や組織の欠損や機能障害・不全に対して、それらの臓器や組織を再生し、失われた人体機能の回復を目指す機能を持つ細胞です。本治療における幹細胞の役割は、炎症を抑えるサイトカインの分泌による疼痛の軽減、損傷した組織・軟骨の修復・再生の促進が期待され、変形性膝関節症の症状改善を図ります。

治療の流れ

flow

  1. 01初回診察(保険診療)

    医師により、今回の再生医療の適応であるかどうかの診断を行います。(必要であれば、診断確定のための画像検査など実施)
    ASC療法の治療の流れ、費用の説明をさせていただき、患者様が治療を希望された場合、次回の診察予約を決めさせていただきます。

  2. 02実施担当医の診察(自費診療)

    脂肪採取前の検査を実施致します(採血、心電図、レントゲン)。
    脂肪採取日、採取翌日、細胞投与日の予約日を決めさせていただきます。

  3. 03脂肪採取当日

    清潔操作で行うため手術室にて腹部又は太ももを5~10mm程度切開し、0.5~1g程度の脂肪組織を採取します。(小指の爪程度)
    局所麻酔を行うので、大きな痛みはありません。
    採取当日は、30分の安静後、歩いてご帰宅が可能です。
    採取した脂肪から幹細胞を抽出し、必要数になるまで病院とは別の施設で約6週間~7週間の培養期間を要します。

  4. 04脂肪採取後の診察

    脂肪切除後の創部の診察処置を行います。
    予約していた細胞投与日を改めて確認させていただきます。

  5. 05細胞投与日

    医師の診察を行います。
    患部の関節腔内の不要な関節液を除去後注射にて投与します。
    1週間後、経過観察日の予約を取らせてただきます。
    30分の安静後、歩いてご帰宅が可能です。

  6. 06治療後の診察

    1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後を目安に、担当医による経過観察を行わせていただきます。

治療の比較について

comparison

  PRP療法 APS療法 ASC療法
対象疾患 靭帯・腱疾患 変形性膝関節症
事前検査(有・無) 特になし 「採血検査」
「心電図」
「胸部レントゲン」
採取するもの 本人の血液 本人の皮下脂肪
投与日 当日 約3ヶ月目以降
採取の方法 採血
26ml~56ml
採血
55ml~56ml
脂肪切除
0.5~1g
麻酔 なし 局所麻酔
進行グレード Ⅱ~Ⅲ Ⅱ~Ⅳ

価格一覧

price

PRP療法 1箇所
110,000円(税込)
2箇所
132,000円(税込)
APS療法 片膝
330,000円(税込)
ASC療法 約3000万個×1回(片膝)
825,000円(税込)
約1億個×1回(片膝)
1,100,000円(税込)
約3000万個×3回(片膝)
1,650,000円(税込)
約5000万個×1回(両膝)
1,100,000円(税込)

再生医療に関する
よくある質問

Q&A

新しい治療法である再生医療(PRP療法・APS療法・ASC療法)の受診に際して、ご不安を持たれる方も多いかと思います。以下のページでは、再生医療に関して、患者様からよくいただくご質問を紹介いたします。ぜひご判断にお役立てください。またこれら以外でもご不明な点や、ご不安のある方はお気軽にご相談ください。専門医が納得のいくまでご説明させていただきます。

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  • ※面会時には、病棟のナースステーションで面会の手続きを行って下さい。